並木恒延作  初景色

公開日:2016-01-10

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漆芸家、並木恒延さんのパネルの下地と塗りを担当させていただいて、もう23年になります。最初、人伝に並木さんの重箱の下地と塗りを頼まれて、見本として送られて来た漆絵を見て、興味を懐き合ってみたいと思い、無理に伺ったのが、24年前の1992年5月でした。ちょうど6月18日から有楽町マリオン、西武百貨店での個展の出品の製作の真っ最中で、製作中の作品も見せていただき慌ただしい中、夜遅くまでお話ししてくれました、その話の中で河和田には初めて大学院の漆芸科の仲間で行ったこと、でかい焼いた鯖を食べたこと、またその後、文化庁の仕事で日本各地の漆の木の調査の為、全国を回った時に河和田に行ったこと、ちなみにその時のメンバーは文化庁から柳橋眞さん(後、輪島漆芸美術館館長)、福岡縫太郎さん(東京芸大講師)、増村紀一郎さん(後重要無形文化財保持者)そして並木さんの4人、なんで並木さんが選ばれたかは、そのころに並木家は布団屋さんを営んでおり、実家に大きなワンボックスカーがあったため、運転手として選ばれたそうです。金曜の授業の後出発して月曜の朝帰ってくる強行軍の中、最も高齢であった福岡先生は明治の政治家で子爵、福岡孝悌(水墨画の最高峰で国宝の長谷川等伯作の松林図所有)の末裔らしくかくしゃくとしておられたこと、また丹波に調査に行った時、副業として漆の木の植栽をしている人の本業が布団屋さんだったことなど楽しそうにお話しされたことが今でも思い出されます。製作中の作品がその後どうなったかが気になり、西武百貨店にも伺いました。その時に私が買ったのがこの作品、初景色(6号)です近くを流れる多摩川のほとりの風景でしょう岸辺の石を金粉で、水面を貝で、セキレイを卵殻で研ぎ出し蒔絵で、早春の静から動に変わる一瞬を見事にとらえています。その後、パネルの下地、塗を担当させていただいています。50号からミニアチュールまで1000枚ぐらいは作ったでしょうか、今も3月から始まる、成川美術館に出品するパネルの塗りを大至急しています。ちなみに西武百貨店の美術部の担当は茂木欣司さんで、その後退社されて実家の足利のギャラリーに戻り家業を継がれました。そこで私も、1昨年個展をして頂きました。感謝しています。一緒に飾った花は山形の啓翁桜、花活けは信楽(大谷司朗作)